ONLINE COURSE 2【Art theory】

アーカイブ8 2021年12月26日

前回主体客体の概念、様々な測定方法についてご説明いたしました。

今回は、構成・コンポジションについてご説明します。

美術としての構図・コンポジション

何をどのように表現するのか

絵画も写真も映像も、ひとつの枠の中に画を表現します。

絵画であればキャンバスサイズ、写真や映像であればアスペクト比。

この縦横比の中にどのようにモチーフや被写体を描けば、望んだ表現になるのか構成を考え表すことが構図コンポジションです。

構図が与える影響と支持体の比率を理解し、モチーフに適した比率や構図とは何なのかを考えていきます。

フィボナッチ数から黄金比

フィボナッチ数

フィボナッチ数は、イタリア数学者レオナルド・フィボナッチに因んで名付けられた数です。

0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233、377、610、987、1597・・・

という前2つの数字を足した数が次の数となり、数は連続します。例5+8→13、8+13→21。

フィボナッチがこの数列を発見した経緯は兎の繁殖数を観察し発見しました。

兎は親世代から、3→5→8→という順に増えていき、2世代前と1世代前を足した和が現れました。

この数比・フィボナッチ数は様々なものに隠れ存在していることが後にわかります。

細胞分裂の数はフィボナッチ数列に沿って増殖し、気管支の枝分かれ、肝臓血管の枝分かれもフィボナッチ数列に沿っています。草木の枝分かれする数、花びらの数、草木の葉の並びは上から見るとフィボナッチ螺旋を描き、貝の断面、孔雀の羽、銀河の渦や台風の渦にもフィボナッチ螺旋が見られます。

さまざな自然の中にこのフィボナッチ数列が存在するのには、合理性という理にかなった存在理由があります。

まるで宇宙の真理を表したような数比がフィボナッチ数列、黄金比です。

古代人はこの値が万物の創造主によって定められたに違いないと考え、 科学者はこれを”神聖比率”と呼んで崇めました。

この数比を、形として目で見た時に安心感と美しさを私たちは本能的に感じます。

フィボナッチ数の隣り合う数字の比がは黄金比である1:1.618になります。

黄金比

黄金比は、約1:1.6の比率の長方形を指します。黄金比はMETALLIC RATIO貴金属比の一つで第一貴金属比です。

黄金長方形(黄金比)から最大正方形を切り取って、残った形もまた黄金比になり、その黄金長方形は延々と現れます。

また、最大正方形の角の点をなめらかに繋ぐと、螺旋ができ、巻き貝の貝殻に現れる渦巻と同じ対数螺旋が現れます。

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fig1 黄金比とフィボナッチ数

黄金比は様々な人工物にも取り入れらています。

 

古代ギリシア時代のパルテノン神殿が黄金比で作られたと言われ、同時期のミロのビーナス、レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザ(1503年~1519年頃)パリの凱旋門(1836年)などに黄金比が使われているとされています。しかし、これらは諸説あり確証性のない情報です。

現在は様々なものに黄金比が取り入れられており、名刺、クレジットカードが黄金比で作られています。※近似値

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fig2 パルテノン神殿の黄金比 by wiki

貴金属比 METALLIC RATIO

黄金比・白銀比・青銅比

​METALLIC RATIO、貴金属比は、2つの数値の比の美しさです。

第一貴金属比、黄金比 1:1.618 

第二貴金属比、白銀比 1:1.414 (大和比)

第三貴金属比、青銅比 1:3.303

 

黄金比以外にも、白銀比や青銅比など様々な美しいとされる比率が存在し、白銀比(大和比)はA版B版の紙サイズで作られ、キャンバスのM、Fサイズは黄金比で作られています

代表的な構図

円構図(日の丸構図)

メインモチーフをキャンバスの中央、もしくはより中央に近く部分的に大きく捉えた構図。

一見して理解しやすく、多くの作品で多用されています。特に人物画は円構図での表現が多い。

 

​円構図は、モチーフが中央に存在し、背景と比較して大きく描くので、モチーフに焦点をあてたアイキャッチ効果が最も大きい構図です。

 

伝えたいことが明確に伝わるため、円構図は代表的な構図として成り立っています。

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fig3 円構図(日の丸構図)Photo by canata

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fig4 レンブラント・ファン・レイン『3本の木』1643年 by wiki

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fig5 クロード・モネ『アトリエ舟』1874年 by wiki

三分割構図

三等分した画面構成を作る事で、バランスのとれた画面になります。

​絵画において、静物画や風景画でこの三分割構図や二分割構図が使用される事が多い。

​画面中央にモチーフを捉えるのではなく、上下左右に振り分ける事で画面全体に変化が表れ、観察する視点が移動します。

物と物が散見しその空間を意識し易くなるので、一点を集中視させる円構図とは違い、全体に目を向けさせる効果があります。

​描きたいモチーフや被写体に焦点をあてたいのか、キャンバスの中に描いた全体を伝えたいのか、意図を考えるとどの構図が適しているのかを選択し易くなります。

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fig6 三分割構図 Photo by canata

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fig7 エドゥアール・マネ『オランピア』1863年 by wiki

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fig8 ジャン=フランソワ・ミレー『晩鐘』1857-59年 by wiki

二分割構図

画面を上下や左右で二分割した構成は、対比や境界を表し、均衡ある安定した空間表現や緊張感のある画面を作ります。

この二分割構図の位置を変化させる事で、圧迫感や開放感を与え、空間概念の変化を与える事もできます。

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fig9 二分割構図 Photo by canata

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fig10 フィンセント・ファン・ゴッホ『ローヌ川の星月夜』1888年9月アルル by wiki

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fig11 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー『レイビー城、ダーリントン伯爵の邸宅』1817年 by wiki

その他の構図

放射線構図

ある位置からある位置までの距離を表現し、遠近表現が立体的な奥行きを強調します。物同士の関係を利用する事で大きさや距離を表せます。

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fig12 放射線構図 Photo by canata

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fig13 ピエール=オーギュスト・ルノワール『ポンヌフ』1872年 by wiki

額縁構図(トンネル構図)

額縁構図は、何処から一部を覗いたような、任意の視点フィルターを加えたような効果があります。額縁構図を使わなければ、普通の風景やモチーフであっても、額縁構図にする事で、任意の視点を強調し表せます。

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fig14 額縁構図 Photo by canata

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fig15 アルフレッド・シスレー『Village au bord de la Seine』1872年 by wiki

対角線構図(斜線構図)

対角線や斜めの斜線を意識した画面構成にする事で、放射線構図のような遠近効果を与えたり、不安定な印象を与えます。整理された中に現れる斜線は、その他の水平線や垂直線と対比されますので、画面に動きを与えます。

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fig16 対角線構図 Photo by canata

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fig17 ポール・セザンヌ『果物籠のある静物』1888-90年 by wiki

三角構図

モチーフの輪郭線を結ぶと三角形になる形を取る事で、三角構図特有の安定感を与えます。

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fig18 三角構図 Photo by canata

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fig19 ジャン=フランソワ・ミレー『秋、積みわら』1874年 by wiki

動画アーカイブ(期間限定)

ZOOMでのオンライン講座を期間限定にて配信しております。

レッスン時間は約30分程となります。