様々な着彩画材
- AOP

- 2025年9月3日
- 読了時間: 8分
更新日:2025年9月4日

美術を楽しみたいと始めた時、美大を目指そうと思った時、新しく表現の幅を広げたいと思った時、様々な着彩画材でどれを扱うと良いのかと悩む場合もあると思います。
今回はそんな着彩画材について悩める方のお手伝いになればと思いブログにさせて頂きました。
参考になる著名な作品を例にわかりやすく画材の特性をお伝えさせて頂きますので、お時間ありましたら是非ご一読ください。
それでは、それぞれの画材の特徴を見ていきましょう。
画材の違いを大別して水彩と油彩がありますが、ご理解の通り溶液の違いで水で溶けるのか油で溶けるのかの違いです。膠を使う日本画材、コンテ、クレパス、色鉛筆、マーカーなど他にも着彩には様々ございます。
まずは身近に感じる画材から見ていきましょう。
【カラーペンシル】
まずカラーペンシル系の混色と溶液に溶かして混ぜる混色は根本的に違います。カラーペンシルは添加剤を使いそのまま定着させますが溶液に溶かした混色はかなり細かい粒子の混色を行えますので「黄+青=緑」のような混色が安易に行えますがペンシルには添加剤の内容によっては混色というよりも重色すら難しい場合があります。
混ぜ合わせる顔料の量以上に添加剤の量もありますのでソフトパステルで行えた事がハードパステルで同じように行えるわけでもありません。混色を行ったり重色表現を行う場合は画材の特性を学び進めてください。
●色鉛筆
もしかすると人生で一番最初に手にする着彩画材ではないでしょうか。
最も身近で扱いやすいと感じる画材の代表ですが他の着彩画材に比べ発色が弱く彩度が低いものが多いです。プロ用の高価なものでないと綺麗な発色は望めない画材の代表です。
摩擦による圧着で色を定着させますので紙質によっては色が乗る部分とそうでない部分が出来やすく、ポジティブにはマチエール(フロッタージュ)を活かした画法を行えネガティブには色斑をどのように考えるのかも課題になります。クレヨンやオイルパステルのようなワックス成分が多く粘度が高くありませんので綺麗に色を定着させるにはケント紙のような凹凸のない紙を選ぶ必要もあります。
色鉛筆は見えるそのままの色を置くのではなく、奥にある色を観察しグレーズ(重色)する事が重要です。葉を描く場合、黄色を全体に乗せ青で強弱をつけ、後に緑を乗せ場合によっては暖色も下地に入れます。そういった油彩画のようなグレーズを行う事で深い色を表現できます。極めれば色鉛筆とは思えない深さを持った作品を描く事も可能です。
また色鉛筆は各メーカーによって特徴が違いますので自分に合ったメーカーの色鉛筆を探す事も大切です。UNIやステッドラーなど描いて消すことの出来る色鉛筆も販売されています。
DARWENT 参照
STABILO 参照
fig1 参照
◯消せる色鉛筆
STAEDTLER 参照

fig1 : Henri de Toulouse-Lautrec(ロートレック)- wiki(画材:鉛筆+色鉛筆)
●パステル
ソフト、ハードとあり材質が違います。
ソフトパステルは顔料が多く添加剤が少ないので発色が良く彩度が高めです。変わってハードパステルは固く丈夫なチョーク状の着彩画材です。発色はそれほど良くないので色によってはソフトとハードを織り交ぜて使用します。
デッサンでのクロッキーや本作品を制作する前のエチュードで扱ったりします。
【水彩画材】
●ガッシュ(不透明水彩)
小学校などで一番よく使う画材です。
均一した色で塗り広めることや下の色を覆い隠す隠蔽力を活かした塗り方が可能です。乾くと重ね塗りをしても下の色が滲まず透過しないので修正も行いやすく扱い安いです。
また透明水彩のように滲みやぼかしも行えますが顔料とアラビアゴムの配合比率が違いますので透明度高く仕上げる事はあまり行えません。透明水彩ティック(ライク)に行えるというニュアンスです。
●水彩色鉛筆
色鉛筆であって透明水彩のようにも扱える画材です。
部分的に水を含ませて水彩のように表現にしたり色鉛筆のタッチを活かしたりと色鉛筆だけでは行えない複雑な表現が可能です。屋外での写生でもよく使われる方がおられます。色鉛筆に比べ粘度が高く定着力が高いので色鉛筆よりも発色が良いのも特徴です。
Caran d'Ache 参照
●透明水彩
透明感のある滲みやぼかしを多様し透き通った濃淡表現が得意です。また白色で明度を調節せず水分量で顔料濃度を調整し明度コントロールも行います。つまり紙の白色を明度調整に利用するというニュアンスです。また透明水彩は透明な絵の具ですので油彩のグレーズ技法のように重ねて奥にある色を活かした奥深い表現も得意です。黄色の上に青色を乗せて緑色を作るといった場所によって色斑のある豊かな表現を行えます。
デメリットは失敗すると戻れないところです。不透明絵の具は下の色を覆い隠せますので修正して上描きを行えますが、透明水彩は下の色が透けますので失敗をも味として処理するなど工夫が必要になります。
屋外での風景などの写生や、イラストまで多くのジャンルで愛され使われています。
fig1参照

fig1 : 「野うさぎ」アルブレヒト・デューラー - wiki (画材:透明水彩+ガッシュ)
●アクリル絵具
まだ出来て新しい画材で良い点がとても多い画材です。
油彩のような厚塗りや透明不透明の表現、様々なメデュームにて多彩な表現が可能な堅牢な画材です。
水で溶かす画材ですので用意も片付けも簡単で多くの方に使われる画材です。
デメリットとしては乾燥時間をどのように考えるのかという事と乾燥後の彩度の低下があります。メデュームで光沢を付与する事も可能ですが色の沈みを完全に補うことはできません。また透明水彩のような表現は苦手でガッシュのような表現が得意です。
アクリル画材メーカーであるLiquitexのアクリル画材にはレギュラーとノーマルという種類があり、より油彩のようなニュアンスを持つ画材としてリキテックスのレギュラーが認知されています。
Liquitex 参照
SEKAIDO「アクリル絵の具の基礎と可能性」参照
fig2-3参照

fig2 : 「Alpha」Morris Louis - wiki(画材:アクリル+キャンバス)

fig3 : 「Yad」Morris Louis - wiki(画材:アクリル+キャンバス)
●ポスターカラー
水彩絵の具の中でも色斑が特に少ない画材です。
ベタ塗りを多用し色斑がない作品を制作される場合に良いと思います。しかし乾燥後は色褪せがあり彩度が落ちますので彩度の落ち込みを考慮した制作が必要になります。
ターナー色彩株式会社 参照
●水可溶性油絵具DUO
水で溶くことのできる油彩絵の具です。
油彩の場合テレピンなどで希釈しますが水を使って希釈できますので油彩独特の匂いがなく敏感な方には安心です。
油彩のような厚塗りは勿論ですが繊細なタッチも行いやすく、油彩の長所と水彩の長所をうまく兼ね備えています。
水可溶性油絵具DUO 参照
ざっくりとかい摘んで説明させて頂きましたが、画材の選び方はイメージした完成形の作品や模写を行いたい作品に適したものを選ぶ事が良いと思います。
また剥離や亀裂などの破損、色褪せ色斑などの変色などのマイナス結果が現れない限り、どのように扱うのかのルールはありませんので自由に扱ってください。ミクストメディアという言葉を見た事があると思いますが、透明水彩の上にアクリル絵の具で描いても大丈夫ですし、水彩の上にコンテやクレヨンを使っても大丈夫です。あなたのイメジネーションを刺激し自由に行ってください。
水彩は遅延材などのメデュームを使っても水ですので乾燥が早いです。早い乾燥時間が作品にとってプラスなのかマイナスなのか、また油彩にはある光沢も水彩にはありませんのでメデュームを添加する事が基本となります。
油彩にはあって水彩にはない部分はメデュームで補えますがあくまで代替であります。油彩のような表現を好まれる方は油彩を使ってください。
【油彩】
画材の中でも表現の幅が広く油彩独特の光沢のあるグレーズが可能です。
幾重にも重ねて描くグレーズ技法や、アラプリマのような1回描きなど様々な描画方法を行え、ガラスの層のように溶き油を使い奥深い表現も行えます。
乾燥の遅さを最大限に利用したり、調合油を変化させ様々な表現が可能です。生徒さんによっても調合溶き油は違い自作されています。
油彩の魅力は薄塗りから厚塗りまで幅広くこなせ、油彩にしかないワニスを使った奥深さを表現できることにあります。
デメリットとして匂いがきついと感じる方がおられる事と後片付けに手間がかかるという事です。
悩んでしまったらとりあえず油彩を選ぶというのも一つです。面倒な画材ですが日本画材同様にこれにしか表現できない色彩が存在します。それは扱った人にしかわからない体験です。
Holbein 画溶液 参照
fig4-6 参照

fig4 : 「ファン・デル・パーレの聖母子」Jan van Eyck - wiki(画材:油彩+キャンバス)

fig5 : 「牛乳を注ぐ女」Johannes Vermeer - wiki(画材:油彩+キャンバス)

fig6 : 「Mona Lisa」Leonardo da Vinci - wiki(画材:油彩+キャンバス)
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